これに対し U は「われわれの収益力を評価すべきだ」と1対0.7前後を求めていた。 ここでも影を落としていたのは、 MS が U に提案した1対1の統合比率だ。
MS 、 U の株主にとってプレミアムが乗った結果ということは、逆に M の株主にとっては相対的に不利な結果となる。 だが、 H らは「 U との統合で株価を押し上げられる」と自分たちの株主に説明できると自信満々だった。
統合が実現して総資産200兆円という世界最大の金融グループに生まれ変われば、株式市場が将来のグループの成長性を評価し、株価にも織り込まれていくとの自負があったとみられ、 U の T も「極めて適正な比率」と評価した。 が提案した04年8月時点の MS と U の株価は1対0.7前後。
M と MS の株価もだいたい1対0.7前後だった。 U にしてみると、せめて「 MS 並みに一定のプレミアム(優遇幅)を上乗せしてくれなければ、 M との統合に U 株主の理解は得られない」との思いがあり、 M に対して強硬な姿勢を貫いた。
05年2月に入ると、両グループの中間となる1対0.6を挟んだ攻防戦に入った。 2月16日、 M 社長の H が U 社長の T に対し、 U 側に有利な0.62のカードを切ったという。
「 MS にはスキは見せられない」。 M 幹部はこうつぶやいた。
「0.62」という数字は U にとっては大きな意味があった。 02年に旧 S 銀行と旧 T 銀行が統合して U になった時の統合比率が S が1、 T が0.62だったのだ。
U にとってはこれより低い統合比率になれば、M による吸収というイメージが強くなるので0.62にこだわっていた。 05年2月18日。
記者会見の席上で H は統合比率に触れ、「純資産価値や株価、今後の収益力などを総合的に勘案して決めた。 ( U 側には)プレミアムもそれなりに入っている」と明言した。

統合比率で U に譲った M でも、システム統合では逆に U を押し切った。 05年2月初旬、傘下銀行のシステムは原則としてTM 銀行が採用する NI 製に原則として一本化する方針が内定したからだ。
TM 銀は親密な地方銀行などとシステムの共同化を進める一方、 U 銀行は複数の小型サーバーをつなぐ「オープン化」にいち早く取り組み、巨額の開発費用を投じていた。

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